映画『滑走路』へ作品提供!富田林市出身の影絵作家である河野里美さんの創作活動に対する「想い」と今回の「繋がり」から得たものとは?
2020年11月20日(金)に上映開始となった映画『滑走路』。この映画に影絵作品を提供した富田林市出身の影絵作家である河野里美さんは、富田林市制施行70周年記念応援団にも参加されています。今回は、影絵作家の河野里美さんから、富田林市のことや創作活動に対する想い、映画『滑走路』などのお話をお伺いしました。最後まで是非ご覧ください。
富田林市は、空がとても広い。
―本日はよろしくお願いします。河野さんは、富田林市制施行70周年記念応援団にも参加していただいておりますね。ありがとうございます!
河野:富田林市制施行70周年おめでとうございます。歴史と自然に恵まれた富田林が大好きです。未来に向けて益々のご発展を心より願っています。
―ありがとうございます。富田林市在住歴はどれくらいですか?
河野:私は、33歳くらいまでずっと富田林市にいました。現在は、東京へ移住して約5年が経ちます。
―河野さんが感じている富田林市の印象を教えてください。
河野:富田林市は、高い建物がないので空がとても広いです。時間がゆったりと流れており、自然が多いところも好きです。今でも実家に帰ると、家のベランダや近くの公園から、朝日や夕日などの風景を眺めたりします。東京とは、時間の流れる速度が違うなと日々感じています。
影絵作家として、感性を大事にしている。
―影絵などの創作活動は、どのようなきっかけで始めたのでしょうか?
河野:大阪芸術大学在学時代は、影絵のアニメーションを作ることがあったくらいで、そこまで本格的な活動をしていませんでした。そして、大学卒業後は普通に就職をしました。しかし、働いている中で「学生時代にやり残したことは?」とふと考える機会があり、「個展をしたことがない!」となりました。そこで「私が発表できるものはなんだろう?」となり、「影絵で作品を作って、個展をしよう!」と思い立ったのが、本格的に創作活動を始めたきっかけです。そもそも私は、「自分で作品を作る」ことや「何かを生み出す」ことが好きでした。
―影絵作家として活動する中での想いは何かありますか?
河野:影絵作家としての創作活動を続けていく中で、作家の知り合いも増えました。私も一人の影絵作家として、「先輩たちに追いつきたいな!」という想いを持ちながら活動を続けて、今に至ります。
河野:私にとって「影絵」とは、ライフスタイルの一環として続けているものです。しかし、創作活動をすることは、今後もずっと続けていくことでもあります。影絵作家としては、HPなどの情報発信を通じてお仕事のお声がけをいただいています。皆さんも是非ご覧ください。
ー河野さんの作品は、どこで見ることができますか?
河野:基本的には、私のHPで見ることができます。今は、自分で個展をすることがない限り、原画を見てもらうことがありません。過去には、山梨県にある「影絵の森美術館」で、2年間常設させてもらったこともあります。
―影絵作家「河野里美」さんの「ここを注目!」というポイントはありますか?
河野:ポイントは全然ないです(笑)みなさんから作品に対する感想をいただくことで、「あ、そういう見方があるんだ!」という気付きを私にもいただいています。そのため、個人の自由な感性でご覧ください。
ー河野さんの「影絵」に対する想いも聞かせてください。
河野:「見た人が少しでも明るくなる」、「気持ちが沈んでいる時でも物事をポジティブに感じてもらえる」ような作品になったら良いなと思っています。これからもそのような作品を作り続けていきたいです。
河野:また、作品を作る中で、多方面の多くの人に応援してもらっていると感じています。私が少しでも活躍できたり、人に見てもらえる場所が増えたら喜んでもらえるので、皆さんにもっと喜んでもらえることができれば良いなと考えています。
ー応援は力になりますよね。私も河野さんファンの一人として、応援しています!
河野:ありがとうございます。そして何よりも、両親がいつも応援してくれており、感謝しています。今回のように富田林市公式noteで取り上げていただいて、親孝行になるかなと思います。両親に昔言われた「感性を大事にしなさい。」という言葉は、今でも心に秘めて活動しています。
映画『滑走路』との出会いで感じた「繋がり」の価値。
―今回、2020年11月20日上映の映画『滑走路』に作品を提供されたとのことで、おめでとうございます!作品の提供は、どのようなきっかけだったのでしょうか?
河野:ありがとうございます。映画『滑走路』に作品を提供したきっかけは、以前、映画『未成年だけどコドモじゃない』のお仕事で絵本の作画を影絵で作ったことの繋がりからです。この時に一緒にさせてもらった助監督が、今回の映画『滑走路』の商業映画としての監督デビュー作品です。
河野:映画『滑走路』は、歌集が実写化されたものです。主人公の女の人の設定が、偶然にも切り絵作家でした。主人公が切り絵作家だったことで「河野さん!」となったらしく、ありがたいことに監督からお声をかけていただいたというものです。
ー今のお話を聞いて、「繋がり」の価値をとても感じました。映画『滑走路』では、作品提供の他にも何か役割はあったのですか?
河野:主演の水川あさみさんに、影絵作品を作るレクチャーなどを短期間ですが現場に入って行わせていただきました。「こうやって映画ってできるんだ!」と感じ、私にとっても貴重な経験となりました。
―映画『滑走路』の見どころを教えてください。
河野:例えば、「人と接することはしんどいこともあるが、人に救われることもある。」というような、ささやかな希望を見出せるような作品です。たまたまかもしれませんが、現在の新型コロナウイルス感染症などの社会問題の状況と、どこかリンクしているようにも私は感じました。見る人によって感情移入する部分が違うと思うので、来場者は映画『滑走路』を自由な感情で見て、自由に感じとってほしいです。
ー河野さんにとって、映画『滑走路』は、人生の中でどのような映画になりましたか?
河野:何より「人の繋がり」ってすごいなと感じました。助監督だった人の商業映画デビュー作に立ち会えたことは本当にありがたく、応援の気持ちでいっぱいです。また、私は普段、一人でこもって影絵作品を制作していますが、映画制作はチームで動いています。「みんなでいろいろな意見を入れることで良い作品が作れるな!」と、改めて感じたきっかけになりました。
河野:また今回は、水彩画とのコラボもさせていただきました。私にとって、表現の幅を広げる新しいきっかけを与えてもらうこともできたことは、とても嬉しいです。
『滑走路』
11月20月(金)全国公開
水川あさみ 浅香航大 寄川歌太
木下渓 池田優斗 吉村界人 染谷将太
水橋研二 坂井真紀
原作:萩原慎一郎「歌集 滑走路」(角川文化振興財団/KADOKAWA刊)
監督:大庭功睦 脚本:桑村さや香
主題歌:Sano ibuki「紙飛行機」(EMI Records / UNIVERSAL MUSIC)
撮影:川野由加里 照明:中村晋平 録音:西正義 装飾:小林宙央 音楽:永島友美子
編集:松山圭介 VFX:田中貴志 助監督:桜井智弘 制作担当:赤間俊秀
製作:「滑走路」製作委員会、埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ 制作プロダクション:角川大映スタジオ、デジタルSKIPステーション
配給:KADOKAWA ©2020 「滑走路」製作委員会 PG12
公式HP:kassouro-movie.jp
作品を作る上で、環境はとても大切。
―では、最後に本記事をご覧いただいている皆さんへ、一言をお願いします。
河野:最後まで読んでくださって、ありがとうございました。私は、30年以上ずっと富田林市に住んできました。今思えば、ゆっくりとした環境の中で育ったことは、作品を作る上ではとても良かったです。作品を作り続けている今の自分がいるのは、富田林市の環境で育ったことが本当に大きいでしょう。富田林市には今でも実家があるので、また帰省した際には、富田林市を肌で感じながら楽しみたいです。
河野:また2020年12月には、すばるホールでも展示等があります。富田林市の皆さんは是非ご覧ください。
―ありがとうございました。また今後ともよろしくお願いします!
Profile
大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。2005年から独自で影絵の創作を始め、個展などで新作を発表。広告・映像・絵本・ステンドグラスのデザインも手掛けるなど幅広く活動している。
【主な作品】
・ハルカス300(展望台)「天空の影絵~北斎の世界~」
・「藤子不二雄Ⓐ展-Ⓐの変コレクション-」コラボレーション作品
・ディズニープリンセスとアナと雪の女王展
・「あかりの明治村」障子プロジェクション