富田林市の特産品「大阪なす」が生まれるまでのお話。
見出し画像

富田林市の特産品「大阪なす」が生まれるまでのお話。

富田林市は、古くから「大阪なす」の産地です。ボリュームのある柔らかい「大阪なす」は、非常に美味しいと評判です。「大阪なす」の収穫期は2月下旬から7月初旬で、年間1,700t以上が市場に出荷されスーパー等で販売されています。

では、どのように「大阪なす」が生まれ、生産されているかご存知でしょうか?今回は、富田林市の特産品である「大阪なす」が生まれるまでのエピソードについて、ご紹介します。

大阪なすの栽培技術を教えてもらうには、生命保険に加入することが条件でした。

画像3

『煮る、焼く、揚げる。』
なすは、どんな調理にも合う野菜です。インドが原産地と言われており、ビルマ、中国に渡り、平安時代に日本に伝わりました。夏に実がなるので、「夏実」が訛って「なすび」と呼ばれたという説もあります。

徳川家康が駿府(静岡)にいた時、初なすの値段の高さに驚き、「駿府には高いものが3つある」と言ったそうです。これが初夢で有名な「一富士、二鷹(愛鷹山)、三茄子」の語源とされる説もあるほど、初物は当時から高値で取引されていました。なすは、世界で1,000種類、日本でも180種類あると言われています。

画像2

「大阪なす」は、いかにもなすらしい形をした千両なすです。大阪なすの栽培の中心である富田林市では、古くから栽培されていました。商用としての栽培は大正の末期からで、普及し始めるのは昭和の初期です。昭和4年の農業恐慌による農作物の価格暴落と、農家が経済的に苦しかった時代の収益の高い作物として、富田林市でなす栽培が注目されていきます。富田林市北部の喜志新家や宮地区で栽培され、順次、市内全域に普及していきました。

この「大阪なす」の栽培技術の伝授と普及に貢献されたのは、和歌山県在住の生命保険の営業マンでした。栽培技術を教えるかわりに、生命保険の加入を求めたそうです。種子のあっせんをはじめ、育苗、藁の発酵熱を利用する踏み込み温床や、肥料管理などを個別に回って教えていったそうです。日夜奔走し、石川沿いや河南町まで広く技術指導をされました。この方の努力で、昭和7年頃には5月上旬に畑へ定植、そして5月の下旬から10月中旬まで収穫する露地栽培技術が定着し始めました。その後、病気の対策や、接ぎ木の技術、土壌や堆肥の改善など、さまざまな技術の改良や導入を重ね、安定した大きさとおいしさを兼ね備えた、いまの「大阪なす」があるのです。

大阪なすは、小さな鉢で育て、接ぎ木をして畑へ。

画像1

「大阪なす」は、9月中旬から10月中旬ごろに育苗を始めます。そして11月ころ、病気に強い台木用のなすと接ぎ木をします。これは、連作障害を起こさないためでもあります。この接ぎ木はとても難しく、熟練の技術を要します。互いの木の大きさや、温度、湿度などに配慮しなければ、うまくできません。

そして、接ぎ木をした後、鉢のサイズを上げながら育苗し、1月中旬にハウスに定植します。「大阪なす」の畑は、籾殻を主成分とした堆肥を使用しています。それにより、他県では類を見ない大きななすを育みます。

2月初旬から毎日、花を咲かせ、実を結ぶ。

画像6

「大阪なす」の木が30センチほどの高さになる2月初旬から、花が咲き始めます。そして、その花ひとつひとつに丁寧に、実を結ばせるためのホルモン剤を噴霧します。約20日後に「大阪なす」が収穫されます。2月の終わりには、その年の初の「大阪なす」は出荷されるのです。

葉2枚にひとつの花がつくのですが、6月20日ごろまで毎日咲きます。毎日の水やりも木の状態を見て、水量を変えます。午前中はホルモン剤の噴霧と水やり、そして収穫。午後は、選別と出荷。これを7月初旬までの約5ヶ月間、毎日続けています。

真夏の太陽の力で、土に力を与える。

画像7

「大阪なす」の収穫は、6月がピークで7月中旬で終わります。その後、なすの木を抜き、トラクターで畑を耕します。これは、土をかき混ぜることにより、空気を入れ土を活性化するためです。

そして、8月中旬までの気温の高い約2週間はビニールハウスを閉じ太陽熱でハウス内を高温にし、熱消毒を行います。農薬などを使わない土壌消毒も、「大阪なす」の特徴です。

来年も元気な大阪なすに出会うため、きゅうりも植える。

画像4

「大阪なす」の収穫を終え、土の熱消毒が終わった畑には、きゅうりを植えます。これも連作障害を避けるためと、畑の有効活用のためです。このきゅうりも、生育に強いかぼちゃの木と接ぎ木してから畑に植えます。

きゅうりも「大阪なす」も寒さに弱いので、冬になるとビニールハウスの中に小さなハウスをふたつ作り、3重にします。気温の上昇に伴い、3月中旬、そして4月初旬にひとつづつ外し、最適な温度と湿度の環境で育てます。

おもてなし大皿なす料理レシピコンテスト

画像5

2020年には富田林市制施行70周年記念事業として、「大阪なす」を使用したアイデアいっぱいの料理レシピコンテストを行いました。農業や商業と結び付きを強めて市から地産地消の「食」を発信し、また、富田林市の豊かな農産物を市内外へPRしていくことが目的です。

「大阪なす」のテーマを元にして、市内外の方に美味しく食べていただけるレシピを募集し、そのレシピをウェブサイト等で公開や市内の飲食店で販売、また、学校給食で使用できれば「大阪なす」のPRに繋がると考えています。最終審査として、令和3年度に「なすフェス」を実施しコンテストを行い、市内外の方に食していただければと考えています。また、レシピ読本を発行し配布する予定です。

最後に。

今回は、富田林市の特産品である「大阪なす」が生まれるまでのエピソードについて、ご紹介しました。

なすは、食物繊維の含有量が比較的多く、ポリフェノールの一種であるナスニンという活性酸素を抑制する抗酸化作用があります。また、コリンという機能成分も含まれており、生活習慣病予防に期待できる野菜です。

色つやが良く、皮や果肉もやわらかい「大阪なす」。富田林産の「大阪なす」料理で、みなさんの食卓をおいしく彩ってください。

なお、本記事は平成26年出版「おいしいレシピ読本」より文章を転載しました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!今後も富田林市をよろしくお願いします!

ありがとうございます!
大阪市内から約30分に位置する富田林市は、自然と歴史が豊かな人口約11万人の街です。このnoteでは、富田林市の「ヒト」「モノ」「スポット」など、街にあふれる魅力を中心に紹介します。是非気軽にフォローして、ご覧ください。