見出し画像

富田林市出身の昭和の名女優「浪花 千栄子(なにわ ちえこ)」さんとは?

NHK2020年度後期連続テレビ小説『おちょやん』(NHK)のヒロインモデルが、富田林市出身の方ということを皆さんご存知でしょうか?モデルとなった「浪花 千栄子」さんは、ラジオやテレビドラマ、映画など数多く出演した女優です。今回は、富田林市出身の昭和の名女優「浪花 千栄子」さんについて、ご紹介します。

昭和の名女優「浪花 千栄子」!

画像1

本市出身の浪花千栄子さん(本名 南口(なんこう)キクノさん)は、明治40年11月に南河内郡大伴村大字板持(現在の富田林市東板持町)で出生、8歳で大阪市内に女中奉公に出るまでを本市で過ごされました。

大阪での奉公では苦労を重ね、その後京都で舞台女優として芸能の道に入り、様々な紆余曲折を経て40歳になってから遅咲きの大輪の花を咲かせ、ラジオやテレビドラマ、映画など数多く出演し、女優として大活躍しました。

浪花千栄子さんの足跡

大正後期~昭和初期 ~女優の道を志す~

「村田栄子一座」にて舞台女優として芸能の道に入る。
「東亜キネマ持統院撮影所」に移籍、映画の道へ。
2代目渋谷天外さんらが旗揚げした「松竹家庭劇」(松竹新喜劇の前身)に所属。
2代目渋谷天外さんと結婚。

昭和20年代 ~人気女優への道を駆け上がる~

戦時中、富田林市に疎開(昭和23年頃まで)。
2代目渋谷天外さんが新たに立ち上げた「松竹新喜劇」の看板女優となる。
2代目渋谷天外さんと離婚、「松竹新喜劇」退団、一時、芸能界から身を引く。
NHKラジオドラマ「アチャコ青春手帖」で花菱アチャコと共演。
大ヒット映画「祇園芭囃子」(溝口健二監督)出演、ブルーリボン助演女優賞受賞。

昭和30年代 ~円熟を迎え、多くの映画に出演~

●主な出演映画作品(抜粋)
木下恵介監督 「女の園」(1954年)、「二十四の瞳」(1954年)
溝口健二監督 「近松物語」(1954年)
豊田四郎監督 「夫婦善哉」(1955年)、「雪国」(1957年)
黒澤 明監督 「蜘蛛巣城」(1957年)
𠮷村公三郎監督 「大阪物語」(1957年)
市川 昆監督 「東北の神武たち」(1957年)
小津安二郎監督 「彼岸花」(1958年)、「夜の素顔」(1958年)
田坂具隆監督 「親鸞」(1960年)
内田吐霧監督 「宮本武蔵」シリーズ(1961年~1965年)
加藤 奏監督 「瞼の母」(1962年)
西河克己監督 「伊豆の踊子」(1963年)
大庭秀雄監督 「雪国」(1965年)

戦後復興期から高度経済成長期(昭和20年代から昭和40年代)の間には、日本を代表する文豪たちの作品が名監督により映画化され、銀幕のスターが人々を元気づけました。浪花千栄子さんは当時の並みいる巨匠監督に起用され、映画をはじめ、テレビ、ラジオ、舞台に数多く出演し、有名俳優・歌手と共演されています。

浪花千栄子さんと富田林市のエピソード

浪花千栄子さんは、戦中・戦後に本市内へ疎開したことや女優として大成してからも本市を訪れたことから、様々なエピソードが残っています。本市が浪花千栄子さんに関するエピソードを市民の皆さんから公募したところ、以下のお話が寄せられました。

「幼少期には市内のあちこちで奉公していたと聞いている。」
「私のおばあちゃんは浪花さんと親交があり、本人から着物を贈られた。」
「戦時中に疎開した際、地元青年団が芝居の手ほどきを受けた。」
「疎開を終えて大阪市内に戻るときに、地域の皆さんへのお礼として芝居公演が催行された。」
「有名になってから富田林に来られた時に地域のみなさんにお世話になったことを感謝していた。」

万人に愛された「大阪のお母さん」

画像2

この看板に見覚えはありませんか?本名の「南口キクノ」と「軟膏効くの」を掛け合わせたとも言われていて、いかにも大阪らしい、親しみのある看板です。この看板が街中にあふれた昭和30年代後半から昭和40年代前半かけては、まさしく浪花千栄子さんの絶頂期で、「浪花千栄子でございます。」のセリフで始まるテレビコマーシャルは人気を博しました。

晩年には京都・嵐山で旅館を経営しながら女優活動を続けられましたが、昭和48年に66歳で逝去されました。没後に勲四等瑞宝章を受章されています。日本が終戦後の焼け野原から世界の先進国に肩を並べるまでの発展を遂げていく昭和の激動の流れの中で、浪花千栄子さんはお茶の間に欠かすことのできない存在であり、多くの方々に「大阪のお母さん」として愛される名女優でした。

浪花千栄子さん自叙伝「水のように」

画像3

浪花千栄子さんは、昭和40年に自叙伝「水のように」(六芸書房)を発刊されています(令和2年再版・朝日新聞出版)。苦難を重ね、逆境に耐え、遅咲きの大輪の花を咲かせた女優人生を振り返りながら、ご自身の人生観を語っておられます。

本市では、中央図書館と金剛図書館で「水のように」を貸し出していますので、ぜひ、ご一読ください。

富田林市と連続テレビ小説『おちょやん』

画像4

「おちょやん」では本市内某所にセットを設営し、撮影が行われました(現在は撤去されています)。主人公・竹井千代の人生に大きな影響を与えた生い立ちや幼少期の生活の様子を描いた場面の撮影が行われました。この映像は第1週目(第1話から第5話)の主要な舞台としてドラマに登場します。

最後に。

今回は、富田林市出身の昭和の名女優「浪速 千栄子」さんについて、ご紹介しました。富田林市出身の方が連続テレビ小説のモデルとなったことは、富田林市としてとても嬉しく、誇りに思います。この連続テレビ小説「おちょやん」の放送をきっかけに、1人でも多く富田林市のことを知ってもらえたらと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

NHK朝の2020年度後期連続テレビ小説「おちょやん」

【放送日時】
11月30日(月曜日)~
〈総合〉(月~土)午前8時、(再)午後0時45分
〈BSプレミアム・BS4K〉(月~土)午前7時30分、(再)(月~金)午後11時

南河内の貧しい家に生まれた少女、竹井千代(杉咲花)が、奉公に出ていた道頓堀でお芝居のすばらしさに魅了され、女優をめざします。そして、喜劇の世界と出会い、喜劇界のプリンスと二人三脚で、昭和の戦前、戦中、戦後の激動期を駆け抜けます。大阪のど真ん中を舞台にした、笑って、泣けて、人情あふれる、波乱万丈の物語です。

この記事が参加している募集

この街がすき

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!今後も富田林市をよろしくお願いします!